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それでも建物は壊れる? 主婦でも分かる新耐震基準の真の意味
「3.11」東日本大震災から5年…。時の経過とともに日常を取り戻すことができている人も多い半面、まだまだ困難な状況の中、復興への長い道のりを覚悟しながら、必死に頑張っている人がたくさんいます…。
そんな状況の中、今回の熊本地震(平成28年4月14日)が起きてしまい、それからまだ1ヶ月あまり。今でも余震が続いています。
たびたび耳にする「新耐震基準を適用した建物が損壊している」という報道。それならば、新耐震基準とは一体何のために、何の目的で、何を達成するために作られているのでしょうか? 新耐震基準は無意味なのでしょうか?
「予測不能な地震」との闘い
技術者たちは、法が改正されるたびに新しい技術開発に力を注いできました。「前例」に基づいた範囲の技術。
今回の熊本地震では、2度の大地震(震度7を計測)が生じ、これによって旧耐震建物はほとんどが「倒壊(倒れて潰れること)」してしまいました。
4月14日21時26分 熊本県熊本地方 Mj6.5(Mw6.2)/ 震度7
4月16日01時25分 熊本県熊本地方 Mj7.3(Mw7.0)/ 震度7
こうした予想外の地震に対し、安全と言われていた新耐震基準建物(1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物がクリアするべき耐震基準で建てられた建物)までもが「損壊」したことが報じられています。
損壊とは、簡単に言うと「壊れて崩れること」。前述の「倒壊」とは異なります。
新耐震基準の真の目的
旧耐震基準の建物は倒壊。新耐震基準の建物は損壊。何が異なるのでしょうか。
ポイントは、損壊の場合、建物から避難する時間が稼げる、ということ。倒壊の場合はそれもできないかも知れません。
つまり、旧耐震基準の建物は、倒壊の恐れがあるので、地震の際には避難する時間すら与えられないかもしれないということです。
新耐震基準の建物であれば、倒壊の恐れはないので避難するだけの時間が稼げる、ということ。
つまり、旧耐震基準の建物は、急いで耐震対策をしていなければ次の大地震では命を守れないかも知れないと考えるべきでした。
補強は先送りしてはならないんですね。
2回目の大揺れでは予測不能?
耐震基準は建物を守るものではなく、人命を守るためのもの。壊れない建物を作ることではなく、建物の破損によって人命が奪われるのを防ぐものだったのです。逃げる時間を与えるということ…。
壊れない建物ではなく、避難する時間が稼げる建物、ということなのです。1回目は倒壊しないとしても、2回目ではどうなるか予測が不可能です。それが今回の熊本地震で生じてしまったということなのだということが理解できました。
複数回の大地震が生じても使い続けることができるような建物にするには、耐震基準以上の取り組みと対策が必要なんですね。
§
大地震が起こるたびに法が改正されてきた日本の耐震技術。今では世界一と言われています。とはいえ数々の報道を通してその変化の是非が問われているのもまた事実。
近代建築と耐震の歴史は100年しかなく、その中で震災のたびに誤解が生じ、混乱させられているような気がします。
今できることは、旧耐震基準の建物を早急に診断・対策することと、必要な防災グッズを揃えておくこと。人命を守ることが基本だから……。
ぴよ子
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