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不同沈下で悩む横浜市のマンションから考える
今、横浜市のとあるマンションが「不同沈下?」と話題です。
…不動産屋の知人から質問の電話がありました。「あと3メートルほど杭の先端が支持層に達していない場合、建物が立った後に杭を足すことはできるの?」と。
平たく考えると、「支持層まで掘って足す」のか、「地上から支持層に向かって杭をぐいっと押し込む」のか、ということになりますが、杭を下に足すことはどうも難しそうだと答えました。
一方で、何か補修の方法はないか、という観点で「施工的には補修可能だろう」と私見も述べました。
今回のケースでいえば、建物平面で言って端部が沈下しているとすれば、沈下した場所近辺に新たに杭を新設し、建物本体の基礎か地中梁をその新しい杭へ接続させるというモデル化を構造的に説明しきれれば、設計としても成立するでしょう(そこを説明し切る、のが一番大変でしょう)。
そう伝えると、その不動産屋の知人はびっくりしていました。「そんなことできるの!?」と。
彼の中ではおそらく、「補修はできない → 耐震偽装問題の時のように建て替え」というストーリーだったと思うのですが、私の話を興味深く聞いてくれました。
「不動産の資産価値」という面からは、
- 補修ができないなら、値段がつかないほど安くなるだろう
- 補修ができるなら、役所に認められるところまでいけば、値段は変わらないだろう
と、不動産屋らしい至ってシンプルなコメントも…。
耐震補強を実施することで税務上の耐用年数をそれ以上に延伸させ、結果的に資産価値も保全・延伸できるはずであると、弊協会は提案し続けてきました。
こうした観点から言って、このマンションにお住まいの方に対しては、本当に気の毒に思います。地震に対する不安や販売会社への不信、また、資産価値の時間的な変動リスク、同情の念を禁じえません。
私共が通常、補強をお勧めしている旧い建物ではなく、新耐震基準の建物が、そんな降って湧いたような心配が必要だということ…。
お手伝いできることは何かないだろうか、所内では意見交換を進めています。
(執筆:山本章夫)
R-mag事務局
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