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建物よりも先に寿命が来る、排水管。メンテナンスは?
国税庁は鉄筋コンクリート等の建物の法定耐用年数を47年と定めていますが、そこで使われる「水」を運ぶ配水管の寿命は一般的に35年程度とされています。
建物よりも先に配水管に寿命が来るということは、建物を使っている時に漏水事故などが起きる場合があるということです。
給水管内部に発生したスライムと呼ばれるバクテリアによるヌメリや錆などの有機物によって、配管がどんどん劣化して行き、水がだんだんサビっぽい味がしたり赤い色になったり洗面台に赤い筋が残ったり……。
配水管メンテナンスが難しい理由
そのような問題が生じる前にメンテナンスしたいものの、配水管トラブルというのはなかなか対策のタイミングが難しい理由があります。
その一つが、配水管は目に見えないところにあるということ。床下や壁の中など、開けることができないところに配水管あります。
また、「この部分だけ錆びている」という特定が難しいだけでなく、使用している建物の壁や床を壊して配水管を取り替えるという工事がほぼ不可能であるということもあります。
対策するには、見えない配水管の中を見る、建物を傷つけずに解決する、という技術が必要になります。考えただけで不可能に思えますが……。
もし赤水や鉄粉が排出されるようになっても、すぐに対策できる?
早期に配管のメンテナンスを実施すれば大丈夫とはいえ、中古の建物、使用中の建物のメンテナンスには多大な費用と労力を要するようです。
しかし、近年、給水・給湯管内に「オゾン水」を注入し、従来工法のように水道管を傷つける事なく衛生的に保つ事の出来る画期的な工法が開発されています。
オゾン(O3)を溶解させた「オゾン水」は殺菌性の強い液体で、配管内部の腐食の原因であるバクテリア類を完全に殺菌して配管を延命できるようです。なんでも、塩素の8倍程度の殺菌力があるのだとか。
しかも、自然に分解して酸素に変化するという特性があるため、安全性にも富んでいて、医療器具や食品の殺菌の分野でも塩素に代わる殺菌物質として「高度浄水処理」として導入されている技術だというのですから期待できますね。
ヌメリや錆などの有機物を酸化分解させ、さらに滅菌処理を施しながら異物除去を行うので、その後の腐食防止にも一役買います。
これなら交換時に掛かる莫大な費用も軽減でき、さらに税金対策にもなって経費が大幅に削減できますね。
耐震性が改善できても配水管を全部取り替えないといけないとなったら大変ですが、これなら中古物件の復活も投資対象になる、ということです。スクラップ&ビルドからレトロフィットの時代へと移行できるテクノロジーがまたここに一つ……!
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