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緊急輸送道路の安全に向けて耐震化を実施-多崎興業(株)

東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例が公布され、建物のオーナーには行動を促されています。
多崎興業株式会社の常務取締役 有田正彦氏も、ビルの耐震補強工事を完了された方のお一人です。
そこで今回は有田氏にインタビューし、その経緯や採用された耐震技術について伺ってみました。
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自社の耐震補強工事を最近完了されましたね。なぜ耐震補強工事に踏み切ったのでしょうか?
東京都の耐震化推進条例に基づいて、特に沿道建築物の耐震化を図る緊急輸送道路として『特定緊急輸送道路』の所有者に対して耐震化状況の報告、耐震診断を義務付けるなど、
耐震化を重点的かつ集中的に取り組んでいくという事が背景にあります。当社のビルがそれに該当するということから、非常に重い責任があると感じました。
どのような耐震改修・補強を行われましたか?
60年以上もの歴史のあるこの場所のビルを、是非JSPAC耐震工法で手掛けたいという企業からのオファーを受けたのをきっかけに、検討を始めました。耐震補強工事には色々な工法があり、実際に幾つかの工法を提案されていました。その中で、テナント様になるべく迷惑をかけず、主に柱のみの工事で耐震補強後も外観の変化が最小限にとどめられるというJSPAC耐震工法に魅力を感じました。
実際の施工中はいかがでしたか?
居ながら施工が可能であるというお話を最初に伺っていたのですが、一部のテナント様には工事の関わりから別の階に移動していただくなどの対応は必要でした。「居ながら」にして出来るというのは、やはりビルの使用状況やテナント様の業態により限界があると感じたのは正直なところですが、そのように対応して無事に工事を完了する事が出来ました。
実際に耐震補強工事が完了して、今はどのように感じていますか?
耐震補強をして非常に良かったと感じています。旧耐震のビルは周りを見てもまだまだ沢山あって、それらは色々な問題でやりたくても耐震改修工事を出来ない状況があると思います。耐震改修工事を行っていないビルは、賃料の問題や何かあった場合の社会的責任等の問題が今後も山積みになっていくだろうと考えると、当社のビル(越前屋ビル)も耐震改修工事をするか建て替えをするかの二者選択でしたが、工事を行ったことにより、東京駅周辺の状況を見ながら今後の予想・対応をすることができることになったのでとても有利だと感じています。建物そのものも外観がほとんど変化せず、法的にも安心して頂けるビルとしてスタートを切ることができました。総務省関連のテナント様も既に1階に入って頂いています。
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必要であるという認識はあっても様々なハードルを乗り越えなければいけない耐震改修。できるだけリーズナブルな対応ができることが望ましい中で、有田氏は自社の対策に手応えを感じていらっしゃるようでした。

H.F

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