記事の詳細

 

「えっ!本当に公表されるの!?」

正直、業界の中ではそう思われた方も多いかも知れません。

平成27年2月6日付で東京都耐震ポータルサイトに「耐震診断が実施されてない特定緊急輸送道路沿道建築物」として対象建物の情報が公表されました

文京区 世田谷区 小平市 東村山市 清瀬市 西東京市 奥多摩町

 

公表は予告されていた

公表に踏み切った東京都は、全国の自治体、また、国の耐震化施策にも先駆け、特定緊急輸送道路沿道建築物として指定した建築物を対象に耐震診断の義務化を打ち出していました。

災害時に救命救急・消化活動や物資の輸送等々の復旧復興の大動脈の役割を担う緊急輸送道路が、周囲の建築物の倒壊により通れなくなってしまうことは、都民の生命と財産を守り、更には首都東京の機能を維持するうえで極めて重大なリスクになるという危機意識によるものです。

そう、今回の公表は、首都圏で今後30年以内に70%と予測されている大地震に備えた動きと言えます。

耐震診断等に要する費用負担に相当な助成を行うことに併せ、対応が成されない対象については建物情報の公表をはじめとしたペナルティも課せられることがすでに示唆されていましたが、それが現実になり、明確にその対応が示されたのです。

 

そしてこれは始まりに過ぎない

今後も、未対応建物の公表は順次行われると明記されています。

地震国である我が国の安心・安全を守るために、行政及び建物所有者の双方にとって、現在、苦渋の対応が求められている状況なのです。

ですから、先陣を切った東京都に続いて、他の地域でも同様の公表が実施されることが予想されます。

平成25年11月に国が施行した改正耐震改修促進法により規定された特定建築物、更には各自治体が指定する特定建築物や沿道建築物等についても、一定の期限経過後には耐震診断の義務化に応じない建物所有者に対して同様に建物情報の公表が適時行われていくということを、関係者は強く意識していなければならないでしょう。

 

東京都も国も、そして他自治体も…。減災への取り組みは本気なのです。

 

10.耐震診断が実施されていない特定緊急輸送道路沿道建築物の公表について[東京都耐震ポータルサイト]

 

The following two tabs change content below.
アバター画像

すがはら

埼玉県に生まれ在住。建設業に20年以上に亘り従事。都市土木・インフラ整備、再開発事業等に携わる。特に近年は時代要請でもある社会基盤の維持、保全事業に思いを寄せ傾注、現在に至る。全国各地を奔走し、生の声が反映される保全事業に日々取り組んでいる。

関連記事

ページ上部へ戻る