記事の詳細

テレビの特集番組でスラム化しているホテル施設建物の問題が取り上げられていました。

数年前に廃業し、その後の利用もないまま取り壊しすらされていないホテルの建物がそのまま放置され、無残な姿が観光地の景観を損ない、様々な悪影響を及ぼしていると説明されていました。

 

放置されてしまう理由

都市部に建設されている建物であれば、跡地利用も含め、なんらかの手立てが取られ解消される問題なのかもしれませんが、観光地や地方では投資効果等の理由からやむを得ず放置されてしまうというケースが少なくないようです。

国内の景気の持ち直しや政府の観光立国推進政策等により全国各地の観光地で上向き傾向が見られている中で、今後も大きな影を落としてくる問題として捉えられています。

 

老朽化は悪循環が原因だった

そもそも建物の老朽化とは、必ずしも築年数と直線的に比例していくものとも言い切れません。適切な改修や修繕が施されていれば老朽化は抑制され、時には改善して建物のパフォーマンスを維持することもできます。

そもそも老朽化のウェイトは設備によるものが大きいと考えられています。ボイラー、受水槽、上下雑排水等配管、空調、キュービクル等の電装関係…。設備仕様の影響範囲は大きく、確実に経年劣化が進行します。もちろん設備以外の外装や防水等々、躯体に関わるメンテナンスも必須です。

当初は中長期で計画されていた改修・修繕計画等がないがしろになれ、トラブルが発生してから後手後手の修繕に終始し、利用者に不便を強いてしまったり、稼働効率を悪化させてしまったりと、それらの繰り返しが損失につながって、結果的には一度に大きな投資が必要になるという悪循環に陥ります。

こうした理由から、この建物をどうするのかという議論は最終的に経営判断になってしまいます。老朽化した建物は、一度に大きな投資が必要になるという悪循環に陥ってしまうと、スラム化してしまうんです。

Photo via 歴史と素適なおつきあい

 

これからの観光地ホテルの命題

基本設備に費やす維持修繕費用は、直接的な集客の訴求力に繋がらないと思われがちなので、後回しにされてしまうんですね。

しかし、そもそも利用者の視点から考えてみれば、ごく当たり前な機能に不備のある、メンテナンスがしっかりなされていない施設に足を運びたいと思うでしょうか? もう一度訪れてみようと思うでしょうか?

現在ではインターネット環境が充実し、個別の施設で独自のPRが可能となりました。メンテナンスや改修、リニューアルによる変化を上手に伝えることで、利用者の誘引策となります。

経営難のホテル建物のスラム化を防ぐには、リノベーションや再利用の可能性を見越して、しっかりと建物をメンテナンスしておく必要があるということ。そしてそのことを積極的にPRに含めていくべきです。

 

景気の高揚感に合わせて金融機関の融資環境もポジティブに転じていることから、長期事業収益を目論み、中長期的な計画を基に積極的に老朽化対策を検討している施設が増えてきているようです。

この先、各地のホテルや旅館が、未来に向けた取り組みとしてしっかりと建物を生かし続けることを考えることが大切なんですね。

The following two tabs change content below.
すがはら

すがはら

埼玉県に生まれ在住。建設業に20年以上に亘り従事。都市土木・インフラ整備、再開発事業等に携わる。特に近年は時代要請でもある社会基盤の維持、保全事業に思いを寄せ傾注、現在に至る。全国各地を奔走し、生の声が反映される保全事業に日々取り組んでいる。

関連記事

ページ上部へ戻る