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建築物が老朽化していく要素の一つは「経年変化」、つまり時間とともに損耗したり劣化したりすることです。

風、振動、腐食などの自然環境や使用条件などによって建物が変化し、初期の形状や性能を維持できなくなっていきます。

どれぐらいの時間がどのような劣化があるのか、どんな要因によってどれだけの影響が及ぶのか、それには多大の時間をかけて観察を続けていくことが必要です。

 

世界遺産が研究材料に

かつての東京以上人口が密集し、1974年(昭和49年)の閉山にともなって島民が島を離れてからは無人島となっている世界文化遺産の軍艦島(長崎県長崎市端島)にて、そこにある鉄筋コンクリート建築物をモニタリングすることによって建物と自然環境のみという、無人だからこそできる研究が現在進められています。

東京都市大学の名誉教授 濱本卓司氏による「構造ヘルスモニタリング」では、視覚(映像)と聴覚(音)と触覚(振動)を統合した視聴触統合センシング及び無線と有線を併用した大量データのロバスト転送、そして太陽光発電によるエネルギーハーヴェスティングをテーマにして軍艦島をフィールドに研究されています。

特に映像を通して建物を継続的に観察する取り組みは、研究のみならず、軍艦島ファンにとっても興味深い資料を生み出しています。その素晴らしいドローン映像をどうぞ御視聴ください。

無人となったかつての都会が、今でも私たちに多くの資産を残しているというのは過言ではありません。

こうした過去の遺産が現代の建物の強靭さを生み出す目的で研究されているというのは、日本が世界に誇る技術の一つでもあるということです。

 

AUモニタリング – 遺跡保存

 

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