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空き家の増加が年々、メディアで取り上げられる回数が増えているように思います。

今や国内の空き家の数は7軒に1軒の割合になっているとされ、その理由には高齢化社会に伴う人口の減少なども挙げられていますが、一方で新築住宅や新築マンションも建てられ、空き家はますます増加しているようにも見えます。

空き家の活用法についても様々なアイディアが生まれ、リノベーションやシェアハウスを含めた空き家の再利用についてはニュースや特集番組にもなっているとはいえ、未だに空き家は増加傾向で、放置されている物件が目立つようになっています。

解体すれば空き地になって土地を売ることもできると考えられそうなのですが……。

何故、空き家は空き家のまま放置されてしまうのでしょうか?

 

理由1. 税制

一つの大きな理由となる要素は、「税制」です。空き家を残した場合と更地にした場合に、固定資産税の差があります。

現在の仕組みでは、土地に住宅が立っている場合に200平方メートルまでは課税評価額の1/6、それを超えた場合でも1/3に軽減されます。

ところが家屋を解体して、更地の土地を持っている場合は、固定資産税が最大6倍にまで跳ね上がってしまいます。

仮に空き家を解体しようとしても解体費用と整地費用がかかってしまう……。しかし土地を売るつもりがない、あるいはあまり売れないような場所の土地であるとすればどうでしょうか。

更地にする為に費用がかかる上、更地にすれば土地にかかる固定資産税が上がるとなっては、なかなかお金をかけてまで空き家を整地したいと思う人は少ないでしょう。

これが、空き家を空き家のままにしておく大きな理由の一つです。

 

理由2. 売却条件が悪化している

実は近年、空き家の売却条件がとても悪化しているそうです。

家屋というのは耐震基準や様々な条件をクリアしなければ売れないという事情がああり、そうした基準をクリアするために耐震基準を見直し工事を行ったり、リフォームなどの手入れするとなると相当な金額がかかります。

更地にせずに売却条件を提示した場合は、解体費や更地にするための整地費用を差し引かれた金額が売却値となってしまうケースもあり、売っても二束三文にしかならないという事が往々にしてあるそうです。

確かにこれでは空き家が残ってしまうわけです。

 

理由3. 相続人の問題

家を相続した場合、その負担は全て相続人が負うことになります。現在の空き家の多くは、高齢化社会の産物として親から子ヘと継がれたもの。

仮に1人の相続人へ受け継がれた家屋はその行く先が決定されやすいものですが、兄弟などがいて複数の相続人がいる場合、家屋を継続して引き継ぎたい、家屋を売却したい、など意見が食い違い、空き家をどうするのかという決定が下せないままになってしまいます。

宙ぶらりん状態になった空き家が多々あるということがわかりますね。

 

人が住まなくなった空き家がそのままになっていることには、これ以外にもたくさんありそうですが、いずれにしても共通項は、
空き家をどうにかしようとすればその持ち主にかなりの負担が掛かってしまう、という事実。

この問題を解決するには、根本的な税制の見直しや空き家を減らそうという大きな動きや取り組みが必要であり、社会全体として空き家に対する認識や心構えを改めなければ、今後もずっと、空き家は増え続けていく事になるのです。

 

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